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資本金とは?

「資本金」とは、出資者が会社に払い込んだ金額を基礎として設定される一定の額のことであります。出資者が払い込んだ金額がすべて資本金になるわけではなく、会計上で資本準備金として計上されることもあります。

株式会社の場合は、出資者が払い込んだ金額分の対価として株式が発行されることになり、出資者はその株式会社の株主になることができます。株主になれば、株式会社の重要議案を決議する株主総会に出席することができ、持ち株比率によるその影響力を示すことができるわけです。

たまに、「会社には、常に資本金を超える現金がなくてはならないのですか?」という質問を受けることがあります。これは、旧商法下で資本の大原則とされていた「資本維持の原則」のことを間違って解釈されて、そのように思われたのだと思います。
「資本維持の原則」とは、資本金額に相当する会社財産が確保された状態を、その後も維持させなければならないとする原則のことであり、これを『現金で出資した資本金は、現金のまま資本金として残しておかなければならない』と曲解されたのだと思われます。

資本金というのは、元々会社経営のために出資者から集められた資金です。ですので、会社経営のために利用するのは当然のことなのです。設備投資したり、原材料を購入したり、広告宣伝費に利用したり、従業員の給料を払ったり、そのようなことに資本金が使われるのは当たり前のことなのです。
このことは、資本金としての出資として「現物出資」が認められていることを考えると理解しやすいかもしれません。「現物出資」とは、資本金としての出資を「モノ」で行う方法です。例えば、300万円の現金の代わりに、300万円の価値の車両を出資するのです。これなどは、一度300万円の現金で出資して、即、事業に必要な300万円の車両が購入されたと考えればよいわけです。つまり、資本金として出資した現金を、事業に必要な車両を購入するために使用したと考えることもできるわけです。

さて、この「現物出資」は、どのような「モノ」が認められているのでしょうか?
会計上では、貸借対照表の資産として計上できるモノ、ということになります。具体的には、以下のようなモノです。

現物出資として認められる“モノ”

  1. 預金、手形
    譲渡性預金(預金証書を譲渡できる定期預金)、受取手形などです。
  2. 有価証券
    国債、社債、上場株式、非上場株式などです。
  3. 商品・製品・仕掛品・原材料
    生鮮食料品、商品在庫、仕掛品(製造途中になる製品)、原材料などです。
  4. 貸付金
    売掛金、前渡金、前払費用、未収入金、貸付信託、貸付債権、リース料債権などです。
  5. 土地、建物
    不動産、事務所、店舗、倉庫、敷地などです。
  6. 機械装置、生産設備
    工場、構築物、機械装置、生産設備、立木(地面に生息している樹木)、家畜、果樹などです。
  7. 車両運搬具
    車両及び運搬具、船舶・航空機などです。
  8. 工具器具備品
    工具、器具、備品、コピー機、ファックスなどです。
  9. 無形資産
    営業権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権、借地権、定期借地権、鉱業権(鉱業原簿>登録)、租鉱権(鉱業原簿登録)、採石権、ソフトウエア、ゴルフ会権、リゾート会員権、生命保険契約などです。
  10. 有形資産
    書画・骨董(こっとう)などです。

以上のように、いろいろなモノが現物出資に成り得ますが、現実的には、設立時に現物出資として出資されるのは、自動車やバイクなどの車両や、パソコンやコピーなどの事務機器や、機械器具などの動産が多いように思われます。不動産などは500万円以上になることも多く、500万円以上の現物出資となると裁判官が選任した検査役の調査などが必要となるため、あまりケースとしては多くないのではないかと思われます。

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