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本店所在地を決めるときに注意すべきこと

本店所在地とは会社の住所のことです。日本国民に住民票に記載される住所地があるように、法人である株式会社にも会社謄本(登記事項証明書)に記載される住所地が必要というわけです。
さて、この本店所在地に対する法的な決まりごとは特にありません。そうは言うものの、まったく自由に決めていいということではなく、少なくとも以下の4つのことを考えて決めなければなりません。

  1. 常識的に本店所在地としてNGの場所
  2. 会社の本店として使用すること(使用権限)に問題がないかどうか
  3. 番地以降を記載するかどうか
  4. 許認可要件に適合するかどうか

常識的に本店所在地としてNGの場所

常識的なことなので、ここでわざわざ書く必要もないのかもしれませんが、法律上の明文が無い以上、疑問に思っている人もいるかもしれないので、一応説明しておきます。
例えば、他人の自宅や店舗や会社がある場所を、その所有者や管理者の了解を得ることなしに本店所在地にすることはできません。また、公共機関があるような場所を本店所在地にすることもできません。

会社の本店として使用すること(使用権限)に問題がないかどうか

この使用権限を確認しておくことは非常に重要なことです。それは、のちのちトラブルに発展する恐れがあるからです。
例えば、自宅を本店所在地にする場合で、その物件が賃貸の場合などです。
自宅として賃借しているということは、その物件の使用目的は「住居専用」と契約書に記載されている場合が多いです。それにも関わらず、勝手に会社の本店所在地として登記したことがバレてしまうと、当然問題になります。なので、その賃借物件の貸主や管理会社に、事前に承諾を得る必要があります。たとえ契約書上「住居専用」となっていても、「本店所在地として登記するけども、ここでは営業活動はしない」などの条件を付けて承諾してくれる可能性は十分にあります。

また、自宅が自己所有の物件だったとしても、マンションなどの集合住宅の場合は注意が必要です。それは、管理規約などで住居以外の使用を禁止している場合があるからです。この場合も、事前に管理組合などに承諾を得ておく必要があります。
また、自宅以外に賃貸物件を探して、そこを本店にする場合も注意しなければならないことがあります。もともと事業用という前提で借りるのだから問題はないのではないかと思われるかもしれませんが、業種によってNGの場合があるからです。特に、風俗営業関係は敬遠されるオーナーの方も多いので、事前にどのような事業をやるのかを十分に説明して上で借りるようにしなければなりません。

番地以降を記載するかどうか

定款上の本店所在地の記載は2種類の方法がありますが、ここではその定款上での記載の話ではなくて、登記上の本店所在地(正確には「本店所在場所」)をどこまで記載するのか?という話です。つまり、登記上の本店所在地に番地以降のビル名や号数などの記載を入れるかどうかということです。法律上は番地までの記載でOKです。番地以降の記載をするかどうかの判断は、以下の2つの観点から考えるといいと思います。

  1. ビル名を記載したほうがイメージが良い
  2. 番地までの記載だと、会社の具体的な所在場所が分かりにくい

上記のような特段の理由があるのなら、番地以降のビル名や階数などを記載しておくのも良いでしょう。
例えば、東京ミッドタウンや六本木ヒルズにある会社だと、ビル名まで記載したほうが他者からのイメージが良いでしょうし、他の会社が多く入っている商業ビルなどは階数まで記載していると具体的な所在場所が分かりやすいということです。
でも、登記上の本店所在地にビル名の記載がなくても、名刺やホームページやパンフレットなどにビル名などを記載することは自由なので、あくまでも会社謄本(登記事項証明書)だけの見え方に過ぎないのですが。

許認可要件に適合するかどうか

これは、設立当初から許認可を必要とする事業を始める場合で、さらに、本店所在地をその許可認可事業の営業所とする場合に注意しなければならないことです。
許認可には、営業所の要件を設けている場合があります。許認可の営業所の要件として、ある一定の広さを求められているのに、その広さの要件を満たさない場所を本店所在地兼営業所とすると、許認可の要件を満たさないので許認可を取得できなくなります。あと、営業所部分と住居部分が明確に区分けされていること、といった要件がある場合もあります。

許認可を必要とする事業を会社設立当初から始める場合は、許認可の窓口となっている部署に、その要件を十分に確認しておく必要があります。

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