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事前に確認すべき5つの事項

古物商許可は、営業許可の中でも比較的手続きが簡単な部類に入ると思います。それでも事前に確認すべきことを怠ると、古物商許可をスムーズに取得することが出来ません。一般の方が古物商許可の申請手続きをした時に何度も警察署に足を運ばなければならなくなるのは、ほとんどこのことが原因となっているようです(申請書の書き方がまずくて、何度も警察署に通うことになる人も多いようですが)。

ここでは、そんな事前に確認すべき5つの事項について説明しようと思います。

まず、その5つの事項を箇条書きにすると、以下のようになります。

  1. 古物商許可を申請できる人かどうかを確認する
  2. 古物商の営業所として使用が可能かどうかを確認する
  3. 自動車の駐車スペースが確保できているかどうかを確認する(自動車を扱う場合)
  4. ホームページの登録者名を確認する(ホームページで古物営業をやる場合)
  5. 事業目的に古物営業に関する文言があるかどうかを確認する(法人で申請する場合)

それでは、5つの事項の各項目の中味を見ていきましょう!

確認事項1:古物商許可を申請できる人かどうかを確認する

古物営業法第4条に「こういう人には古物商許可を与えてはならない」というような規定があります。ある一定の条件に該当する人は、古物商の許可が取得出来ないということです。これを、「欠格事由」という呼び方をします。あまりハードルの高い条件ではなく、普通に社会生活を営んでいる人なら、ほとんどの人が該当しないような条件です。

この「欠格事由」は、古物商許可の最初のキモの部分になりますので、別ページでまとめています。かなりのボリュームになりますが、是非チェックをしておいて下さい。
詳しくは⇒古物商許可を取れない人(欠格事由)

確認事項2:古物営業の営業所として使用が可能かどうかを確認する

古物営業を営むには、基本的に営業所となる場所が必要となります。インターネットを利用して、自宅で古物営業をする場合でも、自宅を営業所として登録する必要があります。

さて、その営業所として使用しようと考えている場所が、古物営業の営業所として使用することが認められるかどうかを確認しなければなりません。

まず、自宅を営業所とする場合は、古物商許可を取得するという観点だけで考えるとまったく問題はありません。

しかし、集合住宅の場合には注意が必要です。それは、管理規約などで「住居以外に使用してはならない」などと決められている場合があるからです。勝手に古物営業の営業所として登録すると、のちのち管理組合や同じ集合住宅に住む住民からクレームを受ける可能性が十分に考えられます。なので、管理組合などに事前に承諾を得ておく必要があります。

営業所とする場所が賃貸物件の場合は、必ず、所有者又は管理者に「古物営業の営業所として使用すること」の承諾を得ておく必要があります。警察署への古物商許可申請においても、多くの警察署が所有者などからの「使用承諾書」の提出を求めているようです。なので、事前に「使用承諾書」の記名・捺印をしてもらうことが可能かどうか、所有者又は管理者に事前に確認しておく必要があります。また、警察署によっては、この「使用承諾書」の提出を求めないところがありますが、それは自己責任でやって下さいということです。決して、使用承諾を得ないまま古物営業をやってもいいということではありませんので、ご注意下さい。

確認事項3:自動車の駐車スペースが確保できているかどうかを確認する

扱う古物の品目に自動車を入れる場合には、自動車の保管場所が必要になります。警察署によっては、この保管場所の証明書の提出を求められることがあります。

営業所内に駐車スペースがあるのであればそれで良いのですが、無い場合は別に駐車場を借りたりしなければなりません。このような場合、警察署に駐車場契約書のコピーを提出するのですが、警察署によっては、駐車場契約書のコピーだけでなく「古物営業の中古自動車の保管場所として使用することを承諾した」書面の提出を求めてくる場合もあります。

ただ、中古自動車の売買を行うけれど、保管場所が必要ないというような場合もあります。例えば、買取した自動車をそのまま港湾に輸送して、そのまま海外に輸出するケースなどです。このような場合は、「保管場所が必要ない」理由書などを提出すればOKです。

ただ、委託(お客様に頼まれて買取したものを直接お客様にお渡しする営業形態)なので保管場所が必要ないという理由ではダメな場合があります。それは、「もし委託者が途中でキャンセルした場合、宙に浮いた中古車をどこに置いておくのか」ということが問われるからです。このような場合は、最低1台の保管場所が必要だと考えるべきです。

確認事項4:ホームページの登録者名を確認する

ホームページを利用して古物営業を行う場合、そのホームページのアドレス(ドメインの部分)の登録者名が誰になっているのかを確認する必要があります。
ドメインの登録者名は、通常「Whois情報検索」で調べられますが、その「登録者名(若しくは「Registrant」)」として記載されている名称を確認するのです。その名称が申請者の名前になっている場合は何も問題ありません。

しかし、Whois情報の登録者名が許可申請者以外の名前になっている場合は、ホームページのアドレスの使用権限が許可申請者にあることを証明する書面が別途必要になります。例えば、 プロバイダ等から交付された申請者がURLの割り当てを受けた通知書等のコピーなどです。

確認事項5:事業目的に古物営業に関する文言があるかどうかを確認する

法人名で古物商許可の申請をする場合に、定款のコピーと登記事項証明書(会社の謄本)を管轄警察署に提出することになりますが、この定款などに記載されている事業目的の中に古物営業に関する文言が入っている必要があります。
というのは、法人は、記載されている事業目的以外の事業を行うことは出来ないことが会社法で定められているからです。つまり、古物営業に関する事業目的が記載されていないのに古物営業をすると、法令違反ということになります。
古物営業に関する事業目的が無い場合の対応は以下の2つです。

  • 事業目的の変更登記を行ってから申請する
  • 許可申請後速やかに事業目的の変更登記をすることを約した書面などを付けて申請する

しかし、この事業目的の文言については、万が一不許可になった場合、変更登記の費用が無駄になってしまうことから、許可申請時点では不問にする警察署も多いようです。100%許可を下ろすことを警察署が保証できる訳ではないので、この対応が当然のような気がします。

まとめ

以上、事前に確認しておきたい5つの確認事項を説明しましたが、これは、あらゆるケースに当てはまるわけではありません。上記に記載した内容に当てはまらないようなケースも、当然実務としては存在します。その際には、面倒くさがらずに管轄警察署に確認することが必要です。ただ、一般の方が交渉に行くと、申請手続きに関して無知であることを幸いに過重な条件を要求してくる警察署もあるようようですので注意が必要です。

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