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定款の事業目的に古物営業に関する記載がない場合

「先生。事業目的はこのままでも大丈夫でしょうか?」

以前、お客様から当事務所に電話があり、こんな不安を口にされました。

このお客様は、当事務所に古物商許可申請書の書類作成を依頼され、ご自分で管轄警察署に申請書を既に提出された方です。
申請書類は一発で受理されています。あとは、「許可が下りました。」という警察署からの連絡を待つばかりの状態のお客様です。

では、このお客様は何を不安に感じられたのでしょうか?

実は、このお客様の知り合いの方で、他の行政書士に古物商許可の手続きを依頼された方がいたようで、その知り合いの方が行政書士に言われた事がちょうど自分にも該当していたために不安になられたようなのです。

その行政書士が言ったのは、次のようなことでした。

『会社の事業目的に「自動車の売買」については書かれていますが、「中古自動車」とは書かれていませんね。この事業目的のままでは警察署が許可をおろしてくれないので、法務局で事業目的の変更登記の手続きをやってから、古物商許可申請をやりましょう。』

つまり、古物営業に関する事業目的がないので、このままでは古物商許可は取得できないというようなことを言われたようなのです。

当事務所に依頼されたお客様もまさにこのお知り合いの方と同じケースだったので、古物商許可がおりるかどうかを心配されて電話をされてきたようなのです。

そこで私は次のように答えさせていただきました。

「事業目的が原因で許可がおりないことはあり得ませんので心配なさらなくても大丈夫です。事業目的を理由として許可がおろせないというなら、そもそも警察署は申請書を受理していません。」

と。

上記の行政書士は管轄警察署に言われてそのままをお客様に言ったのかもしれませんが、もし警察署がそのようなことを行政書士に言ったのならばおかしな話しですし、そのまま警察署の言うことを受け取る行政書士もいかがなものかと思うわけです。

なぜなら、古物商許可を取得する前に事業目的を変えさせてから許可申請をさせておいて、もし何らかの原因で許可がおろせない結果が出たとしたらどうするのでしょうか?事業目的の変更登記でお客様が支払った費用は無駄金になってしまいます。

「その行政書士は許可がおりないことはないと判断したからそのように言ったのでは?」と反論される方もおられるかもしれませんが、許可申請書を受理された後に欠格事由に該当するようなことをしてしまったために許可がおりないということもあり得るわけです。警察署でもそういうケースがあり得ると想定するべきなので、許可をおろす前に事業目的の変更を強要させるような行為は明らかに越権行為です。

少なくとも、「古物商許可取得後に事業目的の変更を変更します。」という誓約書を書かせるぐらいで済ますべきなのです。

確かに、事業目的以外の事業をやることは会社法違反になりますので、そう言った意味では事業目的を変更すべきケースはあります。しかし、それはあくまでも古物商許可所得後にできるように警察署や、お客様から業務依頼を受ける行政書士は配慮すべきだと思います。

ちなみに、今回のお客様のケースは事業目的の変更自体あまり必要でないと思っています。なぜなら、「自動車の売買」という文言は入っていて、事業目的の最後には必ず「前各号に附帯する一切の事業」という文言が入っているはずだからです。「自動車の売買」の中には「中古自動車の売買」も含まれていると解釈ができるからです。

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