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発起設立と募集設立
株式会社の設立の態様(手続き方法のこと)には、「発起設立」と「募集設立」の2種類があります。
「発起設立」とは?
「発起設立」とは、発起人※1が設立の際に発行する株式※2のすべてを引き受け、会社設立時の株主になる形態の設立方法のことになります。つまり、設立時の発行株式総数が1,000株ある場合は、その1,000株すべての株式を発起人が引き受けなければならないということです。
「募集設立」とは?
「募集設立」とは、発起人※1は設立の際に発行する株式※2の一部だけを引き受け、残りの株式を発起人以外の者で引き受ける者を募集し、発起人とそのような者とが会社設立時の株主になる形態の設立方法のことになります。設立時の発行株式総数が1,000株あるとして、その内の一部(例えば、200株)を発起人が引き受けて、残りを発起人以外の者が引き受けることができるということです。
※1 発起人の説明はこちら⇒
※2 株式の説明はこちら⇒
「発起設立」と「募集設立」のどちらを選択?
「募集設立」は「発起設立」に比べて手続きが煩雑になるという特徴があります。それは、発起人以外に株式を引き受ける者を募集することに起因しています。だから、発起人以外にその設立する会社に出資しようとする人(株式を引き受けようとする人)が見つからなければ、通常は、まず「発起設立」を選択して設立手続きをすることになります。実際、世の中で設立されている株式会社のほとんどがこの「発起設立」という方法で設立されています。
それでは、「発起設立」と「募集設立」の手続きの手順の違いを見てみることにしましょう。
「発起設立」の手続きの手順
- 会社の基本事項の決定
- 定款の作成
- 定款の認証
- 発起人が割当てを受ける設立時発行株式数および資本金の額の決定
※定款で定める場合は、最初の基本事項決定の際に決めておく - 発起人の資本金の払い込み
- 設立時取締役等の選定
※定款で定める場合は、最初の基本事項決定の際に決めておく - 設立時代表取締役の選任
※定款で定める場合は、最初の基本事項決定の際に決めておく - 本店所在地の決定
※定款で最少行政区間までしか定めていない場合 - 設立時取締役等による調査
- 登記申請書及び添付書類に作成
- 設立登記申請
- 会社設立後の各種の届出
「募集設立」の手続きの流れ
- 会社の基本事項の決定
- 定款の作成
- 定款の認証
- 発起人が割当てを受ける設立時発行株式数および資本金の額の決定※定款で定める場合は、最初の基本事項決定の際に決めておく
- 発起人の資本金の払い込み
- 募集事項の決定
- 設立時募集株式の引受けの申込み・割当て
- 設立時募集株式の引受人による出資金の払込み※
- 創立総会の開催
※設立時取締役の選任は、この創立総会で実施します。 - 設立時代表取締役の選任
- 本店所在地の決定※定款で最少行政区間までしか定めていない場合
- 設立時取締役等による調査
- 登記申請書及び添付書類に作成
- 設立登記申請
- 会社設立後の各種の届出
上記の「発起設立」と「募集設立」の手順を比較してみると、実施しなければならない項目が増えています(青字になっている項目です)。つまり、「募集設立」の手続きが「発起設立」の手続きよりも煩雑であることを示しています。
まとめ
会社を興すための出資をしようと考える人たちは、どのような会社を作るのかを決定することに参画したいものです。このように考える人は、通常、会社の基本的なルール決める定款の作成に関わりたいものなので、必ず発起人になります。つまり、『出資者(株式を引き受ける人)=発起人』という図式が成り立つわけで、この場合は「発起設立」を選択することになるわけです。
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