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一般社団法人が税金の優遇を受けるには?

一般社団法人は、通常、株式会社のような営利法人と同じようにすべての所得が課税対象となります。
しかし、ある一定の条件で、「寄付金や会費収入等の共益事業には課税されない」という税金の優遇を受けることができます。
それは、『非営利型』又は『共益活動型』の一般社団法人になることです。
設立当初から税金の優遇を望むのでしたら、『非営利型』の要件、又は『共益活動型』の要件を満たした一般社団法人を設立しなければならないということです。

非営利型一般社団法人

一般社団法人は、営利を目的としていない非営利法人です(営利を目的としないと言っても、収益事業を行ってはいけないということではなくて、「法人が上げた利益を構成員(社員や会員)に分配せずに、その法人の活動目的を達成するための費用に充てなければならない」ことを意味しています)
それにも関わらず、一般社団法人の中で、さらに『非営利型』と呼ぶ一般社団法人があるのはなぜでしょうか?

それは、通常の一般社団法人では非営利性が不徹底であることに起因しています。つまり、『非営利型』とは、非営利性が徹底している必要があることを意味しているのです。

では、非営利性が徹底している『非営利型一般社団法人』となるためにはどうすればよいか?ということですが、以下の5つの要件を満たす必要があります。

  1. 主たる事業として収益事業を行わないこと
  2. 剰余金を分配しない旨の定めが定款にあること
  3. 解散時の残余財産を国もしくは地方公共団体または公益社団法人等に帰属する旨の定めを定款に置くこと
  4. 理事に、三級等以内の親族が3分の1を超えて含まれてはいけないという理事の制限に違反しないこと
  5. 過去に定款違反がないこと

要件1:主たる事業として収益事業を行わないこと

税法では、収益事業を以下の表にある34種類の事業と定めています。これらの収益事業が主たる事業となっていない必要があるということです。

物品販売業 不動産販売業 金銭貸付業 物品貸付業 不動産貸付業
製造業 通信業 運送業 倉庫業 請負業
印刷業 出版業 写真業 席貸業 旅館業
料理飲食業 周旋業 代理業 仲立業 問屋業
鉱業 土石採取業 浴場業 理容業 美容業
興行業 遊技所業 遊覧所業 医療保険業 技芸・学力教授業
駐車場業 信用保証業 無体財産権の提供業 労働者派遣事業

要件2:剰余金を分配しない旨の定めが定款にあること

通常、「剰余金を分配しない旨の定め」は一般社団法人の定款に絶対記載しなければならない事項ではありません。しかし、『非営利型一般社団法人』になるには、必ず定款に記載しなければならないことになります。

要件3:解散時の残余財産を国もしくは地方公共団体または公益社団法人等に帰属する旨の定めを定款に置くこと

『非営利型一般社団法人』は、解散時の残余財産の帰属先が上記のように限定されることになり、それを定款に定めて置く必要があるということです。

要件4:理事に、三親等以内の親族が3分の1を超えて含まれてはいけないという理事の制限に違反しないこと

理事が5名以内の時は、理事の中に理事の三親等以内の親族がいてはいけないことになります。理事が6名になってはじめて、三親等内の親族の理事を1名置いても構わないということです。
三親等以内の親族とは、以下のとおりです。
一親等の親族=自分の「親」・「子とその配偶者」と妻の「親」と「子(自分の子でなく妻の連れ子が居れば連れ子)」
二親等の親族=自分の「祖父母」「孫とその配偶者」「兄弟姉妹とその配偶者」と妻の「祖父母」「孫」「兄弟姉妹」
三親等の親族=自分の「曽祖父母」「曽孫とその配偶者」「伯父叔母とその配偶者」「甥姪とその配偶者」と妻の「曽祖父母」「曽孫」「伯父叔母」「甥姪」

要件5:過去に定款違反がないこと

これは、言葉のとおりです。その一般社団法人の定款に規定してあることに違反する行為が過去にあった場合、『非営利型一般社団法人』にはなれないのです。

共益活動型一般社団法人

『共益型一般社団法人』になるには、以下の8つの要件を満たさなければなりません。

  1. 会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としていること
  2. 主たる事業として収益事業を行わないこと
    ※「非営利型一般社団法人」の要件1と同じ
  3. 定款等に、会員が負担すべき金銭の額(会費)の定めがあること
  4. 定款に、特定の個人や団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと
  5. 定款に、解散時の残余財産を特定の個人や団体に帰属する旨の定めがないこと
  6. 解散時の残余財産を国もしくは地方公共団体または公益社団法人等に帰属する旨の定めを定款に置くこと
    ※「非営利型一般社団法人」の要件3と同じ
  7. 理事に、三級等以内の親族が3分の1を超えて含まれてはいけないという理事の制限に違反しないこと
    ※「非営利型一般社団法人」の要件4と同じ
  8. 特定の個人または団体に特別の利益を与えたことがないこと

つまり、『共益活動型一般社団法人』というのは、その法人の構成員(社員や会員)に不公平があってはならない、というところに主眼が置かれているようですね。

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