公益社団法人とは?
一般社団法人のうち、公益性を認定された法人を『公益社団法人』といいます。
『公益社団法人』となるには、「公益目的事業」が主たる目的となっている法人が行政庁に申請し、公益認定等委員会に認定される必要があります。
「公益目的事業」というのは、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」であって、「学術、技芸、慈善その他の公益に関する種類の事業である」ということになります。「学術、技芸、慈善その他の公益に関する種類の事業」とは、具体的には以下の事業になります。
学術、技芸、慈善その他の公益に関する種類の事業
- 学術、科学振興を目的とする事業
- 文化、芸術振興を目的とする事業
- 障害者、生活困窮者、事故・災害・犯罪の被害者の支援を目的とする事業
- 高齢者福祉の増進を目的とする事業
- 勤労意欲のある人への就労支援を目的とする事業
- 公衆衛生の向上を目的とする事業
- 児童、青少年の健全育成を目的とする事業
- 勤労者の福祉向上を目的とする事業
- 教育、スポーツを通じて国民の心身の健全発達に寄与を目的とする事業
- 犯罪防止、治安維持を目的とする事業
- 事故や災害の防止を目的とする事業
- 人種、性別などによる不当差別の防止、根絶を目的とする事業
- 思想及び良心の自由、信教の自由、表現の自由の尊重や擁護を目的とする事業
- 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
- 国際相互理解の促進、開発途上国への国際協力を目的とする事業
- 地球環境保全、自然環境保護を目的とする事業
- 国土の利用、開発、保全を目的とする事業
- 国政の健全な運営確保に資することを目的とする事業
- 地域社会の健全な発展を目的とする事業を目的とする事業
- 公正、自由な経済活動の機会確保を目的とする事業
- 国民生活に不可欠な物資、エネルギーの安定供給の確保を目的とする事業
- 一般消費者の利益の擁護、増進を目的とする事業
- その他、公益に関する事業として政令で定めるもの
公益認定基準
また、公益認定等委員会は、18項目の「公益認定基準」に従って公益性の判断をします。以下が、その18項目の認定基準となっています。
一 公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。
二 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
三 その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
四 その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
五 投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。
六 その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。
七 公益目的事業以外の事業(以下「収益事業等」という。)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
八 その事業活動を行うに当たり、第十五条に規定する公益目的事業比率が百分の五十以上となると見込まれるものであること。
九 その事業活動を行うに当たり、第十六条第二項に規定する遊休財産額が同条第一項の制限を超えないと見込まれるものであること。
十 各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十一 他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十二 会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。
十三 その理事、監事及び評議員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること。
十四 一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。
(1)社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
(2)社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。
ハ 理事会を置いているものであること。
十五 他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。
十六 公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。
十七 第二十九条第一項若しくは第二項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額(第三十条第二項に規定する公益目的取得財産残額をいう。)があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から一箇月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものであること。
イ 私立学校法 (昭和二十四年法律第二百七十号)第三条 に規定する学校法人
ロ 社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条 に規定する社会福祉法人
ハ 更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第六項 に規定する更生保護法 人
ニ 独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人
ホ 国立大学法人法 (平成十五年法律第百十二号)第二条第一項 に規定する国立大学法人又は同条第三項 に規定する大学共同利用機関法人
ヘ 地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人
ト その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人
十八 清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは前号イからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。
欠格要件
ただ、上記の認定基準を満たしている場合でも、以下の「欠格要件」に該当する場合は公益認定を受けることができません。
一 その理事、監事及び評議員のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの
イ 公益法人が第二十九条第一項又は第二項の規定により公益認定を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実があった日以前一年内に当該公益法人の業務を行う理事であった者でその取消しの日から五年を経過しないもの
ロ この法律、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項 及び第三十二条の十一第一項 の規定を除く。)に違反したことにより、若しくは刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四条 、第二百六条、第二百八条、第二百八条の三第一項、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第二条若しくは第三条の罪を犯したことにより、又は国税若しくは地方税に関する法律中偽りその他不正の行為により国税若しくは地方税を免れ、納付せず、若しくはこれらの税の還付を受け、若しくはこれらの違反行為をしようとすることに関する罪を定めた規定に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ニ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号 に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第六号において「暴力団員等」という。)
二 第二十九条第一項又は第二項の規定により公益認定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しないもの
三 その定款又は事業計画書の内容が法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反しているもの
四 その事業を行うに当たり法令上必要となる行政機関の許認可等(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二条第三号 に規定する許認可等をいう。以下同じ。)を受けることができないもの
五 国税又は地方税の滞納処分の執行がされているもの又は当該滞納処分の終了の日から三年を経過しないもの
六 暴力団員等がその事業活動を支配するもの